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フェスティバルゲート閉鎖に伴うご説明

■リンク5 播磨靖夫さん(財団法人たんぽぽの家代表)インタビュー

播磨靖夫さんインタビュー
「わたしたちの物語は発光する」

聞き手:上田假奈代

日本でいちはやく「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」という概念を提唱されたのが播磨靖夫さん。たんぽぽの家では30数年前から、障がいをもつ人たちのアートを媒介にして、地域や海外、大学など、異なる分野の方を包摂しながら活動されています。

上田(以下ウ);おかげさまで社会的包摂の重要性を考え書類が提出できました。

播磨:これまで消費の場であった都市のあり方が問われているね。フェスティバルゲートは都市の負の遺産。まさに象徴だと思う。本来、都市の感性というのは、そこに暮らす人、働く人、学ぶ人たちの一人ひとりの歴史や生活史に光をあて培われるるものなのに、時代としては逆行してるんです。どんどん排除しているのが現状です。一人ひとりの個性、文化、役割、そして物語が豊かに紡ぎだされてこそ、都市の魅力になるのにね。でも、そこでこれまでの都市の感性に異議申し立てをして、オルタナティブをつくりだそう、働く場、遊ぶ場、学ぶ場をつくろうと声をあげていくことが大事なんですよね。

ウ:フェスティバルゲートのコンペ書類を作りながら、市民意識が高まりました。これまで、ぼーとしすぎていたなと反省も。いい機会をいただいたと思っています。

播磨:何事も変化は、危険でもあるけど、チャンスになるんだよね。変化をどう読み解くのか、どう向き合っていくのか。僕もね、奈良にたんぽぽの家をつくってきたのは、時代の変化の先を読みながら誰もやらなかったことをやろうと考えたから。お金があれば誰だってできるものには興味がない。ないない尽くしだから、生まれてくるものがある。その際に、地道なこと、コツコツも大事だけどね、石橋を叩きすぎて壊してしまってはいけない。目標に向かって戦略的にアプローチしないとね。まず実現可能なプランを2つか3つたてる。小実験をやって手応えがあれば勇気をもって行動する。その時注意しないといけないのは、夢を追いかけるだけではなく、それが社会的に意義があるのか、時代の先取りか分析をして、ちゃんと優先順位を決めること。そして粘り強くまわりを説得していく。

ウ:切迫すると、戦略と冷静な視点はついつい失いがちです。

播磨:たんぽぽの家のスタッフにいつも言ってるのはね「ニーズにこたえるのは誰にでもできる。ニーズの先取りをしろ。気にいられるものだけではなく、気にかかるもの!」何かやりたいことがあって、続けていればいい出会いがある。幸運というのは偶然ではなく、必然が要る。

ウ:フェスティバルゲートにとって幸運とは人が運んでくるものだと思います。たくさんの人が来てくれれば再生すると思うんですね。

播磨:あのビルには「参加型」が必要だと思うよ。でも、ただ人が集まればいいというものではないですよね。美の女神は細部に宿る。せっかくアートNPOがやってるのだから、美学をつらぬかないとね。本当におもしろいことっていうのは毒のもり方なんですよ。毒の量を時代や社会にあわせて加減してこそおもしろい。

ウ:7月までのフェスティバルゲートに具体的なアイデアはありますか?

播磨:映像を使ったらいいんじゃないかな。個人が所有している古い映像や大阪を売り出す映像、こどもたちや地域の人も巻き込んで、いろんな映像のフェスティバルをしてみたら。インクルーシブのテーマが入っていればいいね。

ウ:いろんな可能性が眠っています。7月のコンペの結果までの短い期間ですが、がんばります。

播磨:限られた時間のなかで集中することは大切です。書類の言葉はまだ少し硬かったね。行政語、企業語、市民語、NPOはこの3つの言語を使いこなせるようにならないとね。それに、コピーも作らないと。マイストーリではなく、あなたとわたしのアワーストーリーを紡ぐ場になり、それが都市の創造性と重なるように。そのイメージを伝えるコピーが必要。

ウ:はい、考えます。

播磨:20世紀は物質の時代と言われていてね、効率化と市場原理がつながりを分断してきた。21世紀は非物質の時代と言われている。分断されて孤立化し活力を失ってきたものを、再びつなぎなおすことが大事。その役割を果たすのは文化芸術なんです。都市再生にクリエイティブな発想が必要なのはそのため。人の夢のなかに自分の夢を発見していくことほど楽しいものはない。媒介者となって、異なったものから学び、異なったものに持ち込み、異なったものを結合していく。異なったものの距離が離れていればいるほど、それはクリエイティブな試みなんですよ。

ウ:創造都市・大阪として、わたしたちの物語がきらりと光る場にしていきたいです。今日はありがとうございました。

播磨靖夫(はりま やすお)
財団法人たんぽぽの家理事長/社会福祉法人わたぼうしの会理事長/エイブリル・アート・ジャパン常務理事/特定非営利活動法人日本NPOセンター代表理事長。新聞記者を経てフリーのジャーナリストとなり、市民運動として障害のある人たちの生きる場「たんぽぽの家」づくりを展開する。またアートと社会の新しい関係をつくるエイブル・アート・ムーブメント(可能性の芸術運動)の提唱やボランティア活動など民間非営利セクターの形成を通した新しい市民社会づくりを試みている。編著書に「知縁社会のネットワーキング」柏書房)、「生命の樹のある家」(たんぽぽの家)ほか。


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