ぽえ犬レビュゥ
「野原を食べるかい」レポート 上田のぞ美
母・みさちゃんは「野草料理人」。
「野原を食べるかい」が始まったのは約10年ほど前かな。
奈良は吉野の実家では、参加者が摘み草をしてその場で調理と食事をするという、今風に言えばワークショップのようなものを、みさちゃんはこつこつとやってきました。
今回はその出張バージョン。cocoroomにて野草のお料理を味わうという企画でした。
以前から助手として雑用を担当していた私は、両日とも「もしかしたら吉野に忘れ物を取りに帰えれる人材」として参加しました。
両日とも予約がいっぱいになるほどの盛況ぶり。お客さまも和やかで、スタッフも珍しい食材ながらも頑張り、どうにか無事に終えることができました。
私は舞台監督さながら、タイムスケジュールやスタッフの作業を指図するなどして、あーだこーだと走りまわりました。
2日目には余裕を見せたみさちゃんが、忙しい最中に何故かスタッフやremoさんに野菜ジュースを作ったり、かなちゃんの滋養強壮のために玄米スープを作り出したりして暴走し出しましたが、何とか調整をはかり、本番に影響の出ないよう、取りはからいました。
開場後は、かなちゃんがみさちゃんの野原の詩を朗読し、野原のお酒を飲みながらの会食。
会場内で揚げた野草や花のテンプラもリクエストが出るほどの好評でした。
春の野原の香りがcocoroomに広がったひとときでした。ビバビバ。
にゃあ捜索日記 レポート 上田のぞ美
かなちゃんと私が飼っていたネコ(本名:タナトス、別名:ばなちゃん、通称:にゃあ)がいなくなったのは、2003年12月18日の午前4時頃。
かなちゃんの撮影のために連れてこられたにゃあが、Pちゃんの夜間作業の間に、ぴゅーっとココルームから出て行ったのである。
長くても数時間で戻ってくるはずのにゃあが、帰ってこない。
その日から、ココルームスタッフ総出の捜索活動が開始された。
まず有効なのは缶詰作戦だ。
普段カリカリのエサしかもらっていないにゃあにとって、ジューシーな缶詰はそりゃあもう大好物。これまでも缶詰を叩く音だけで反応して帰ってきたことがあった。ココルームにはネコ用缶詰がないので、シーチキン缶詰を缶切りでカチカチ鳴らしながら、フェスゲ中を歩いてまわった。人気のないキッズランドが怪しいとか、階段の裏とか、くまなく探しまくった。でも、あのにゃあの声は聞こえない。
アイドル的存在だっただけに、にゃあがいなくなったココルームはお通夜のようだ。Eマンはほんまに泣き出すし、Pちゃんはがっくり肩を落としてる。お客さんたちも心配して、にゃあの不在を悲しんでいる。
缶詰作戦でも見つからないので、もうフェスゲの外に行ってしまった可能性があるとして、今度はチラシ作戦に移った。
にゃあの写真、特徴と連絡先を書き込んだものをコピーして、新世界と西成界隈に貼りまくった。
私は北側の通天閣方面担当。年末の寒風吹きすさぶ中、鼻水をすすりあげながら貼ってまわった。電柱に貼ってると、おっちゃんやおばちゃんが「どしたん?」と聞いてくる。「猫がね・・」と言うと、「野良猫のたまり場にいつもエサをやってる人がおるから、言っといたるわ」とか、「うちの飼い猫もな・・」とか、話してかけてくれる。新世界という土地柄かなあ。
ホームレスのおっちゃんに湯たんぽ代わりにされてたらええけど、まさか猫鍋にはされてないよなあ。いくらにゃあがぷくぷくして、おいしそうでも・・。
にゃあの捜索チラシパート2を作るにあたって、似顔絵を描くことになった。スタッフのMが熱心に描いたところ、形は猫だが目元までMそっくり。不思議なことに、誰が描いてもその本人に似ている。いつのまにかココルーム事務所内で、「裏ギャラリーにゃあの似顔絵展」が開催されることになった。
チラシに載せた私の携帯にいたずら電話がかかるようになった年末。1本の電話がかかってきた。西成警察署からだった。「特徴の似ている猫を保護している」とのこと。
私はすぐさま走った。道でぼーっとしてるおっちゃんらに、「に、西成警察署、どこですか?!」って聞きながら。興奮して走り込んだ先にいた猫は。残念。似てるけど違う猫だった。とりあえずそこで届け出をすることにした。ペットの場合、「遺失物届」になるんだって。後から、西成警察署付近は女の子ひとりで歩くところやないと言われたけど、早く着きたい一心で、それどころじゃなかった。
しばらくして1月の半ば、有力目撃情報が届いた。
貼り紙をしてもらってる「喫茶タマイチ」のおばちゃんからの電話。近所の子供がにゃあを見た、と言っている、と。
また走って、目撃者アイコに会いに行った。彼女が見たのは、ビーズの首輪、デブ、写真に似ている、とのこと。まさににゃあそのもの。寒くてふるえていたらしい。かわいそうなにゃあ!
それ以来、ココルームスタッフは毎日朝昼晩、現場近くをうろついている。現場は火事跡の空き地。私がフェンスの前で缶詰めをカチカチ鳴らしてたら、なぜか自殺者とまちがわれた。気持ち悪い人にナンパされることもある。それでも今日もまた、現場へ行く。アイコの証言を信じ、「ばなちゃん!」と呼んだ声に反応した(ように聞こえた)鈴の音を信じて。フェンスにしがみつき、祈るように「にゃあ」を呼ぶ。
アホ丸出しで「みゃあ~」と言いながらトコトコ歩いてたにゃあ。かなちゃんの部屋から出かけようとする私に、ジャンプして抱きついてきたにゃあ。ふわふわのにゃあ。
カムバック、にゃあ。
9月27日出張 トイレ連込朗読朗読「あ」
・・・・・・・・ かなよ、のぞみの姉妹四国珍道中レポート 上田のぞ美
12月1日
午前10時29分発の新幹線のぞみに1分遅れで乗り損ねたのぞと、
34歳になったばかりのかなちゃんは、次発のひかりで岡山へ向かった。
岡山でじゃがチーズ天とれんこんコロッケと助六寿司を買い込み、
特急しおかぜに乗って松山へ。
旅情誘う路面電車に乗って、松山一の繁華街・大街道へ向かった。
コーヒー飲みたいよねと言って、喫茶店を探す。そして入った喫茶「こまどり」。
足を踏みいれて、吃驚。
誰のか分からん油絵がこれでもかと言わんばかりに掛けられ、
ゴージャス感を引き出そうとする調度品もなんだか的はずれな趣き。
BGMは琴。あっぱれ。
それから、松山城へのロープウエィに乗り損ね、
登山並みの山道を登って7合目まで行き、
松山城も見ずに俳句をひねって投句ポストにいれる。
続いて、松山市駅にほど近い喫茶「珈琲屋」にて、松山の詩人朗読会に参加。
月1回の朗読会には毎回20名ほどの参加がある、とのこと。
今回はかなちゃんをゲストに電撃的に行われた。
まずは松山の詩人5人が朗読。
この日のために仕事をサボって駆け付けた人、詩のボクシング松山代表など、
みんなそれぞれ、気合いのこもった朗読だった。
しっかりきっちり、がんばってるなあ、という印象。
遅れて参加した4人を含め、かなちゃんの朗読も、熱心に聞いておられた。
その後、今回のメインエベントである、トイレ連れ込み朗読へ。
趣きのある道後温泉本館前に、着物姿のBJだいちがいた。
隣の公衆便所へ入っていったかなちゃんとだいち。
バイクで帰ろうとしてたオッサンが怪訝な顔をしていた。
待っている間、寒いので、私は飛び跳ねたり歌ったりしていた。
30分程が経過して、やっとふたりは出てきた。
BJだいちオススメの足湯に行った。
彼はそこで時々、観光客相手に詩の朗読をしているのだと言う。
気持ちよくほんわかしてるシチュエーションが良いらしい。
同じように、彼が詩を読んでくれた。
道後温泉の、あったかいひととき。
ハラヘリで向かった先は、だいち御用達の割烹「すえひろ」。
鰯の開きがそのまま乗っかったじゃこ天がとびきりうまい。
彼は「トイレ連込朗読プロジェクト」の主旨を即座に理解していたらしく
「とても励まされた」と言っていた。
それでも、トイレに入った瞬間は、詩に耳を傾けるどころか、とても緊張したそうだ。
賑やかな夜は、早くふける。ただでさえ夜の早い松山。
旅館「浪六」のおばちゃんに迎えられ、
温泉風呂に入って眠りについたのは、いつもより早い23時50分。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
12月2日
早起きの不得意な我々が、なんと奇跡的に5時45分に起きて、道後温泉本館へ。
地元の人や観光客とともに6時の鐘の鳴る開館を並んで待つ。
3秒前、扉が開けられ、いざ。
せっかくなので、一番上等のコースを選び、ええ風呂に入り、天皇の風呂を見学。
しかし一番感動したのは、みんなのお風呂。
常連のおばあちゃんたちと一緒に入ったそのお風呂の天井は、
ドーム型になっており、マンダラのような穴から青い空が見えた。
感動冷めやらぬまま、旅館に戻って、また寝た。
旅館の朝食とは、何故あんなに食えるのだろうか。
気がつけば、ご飯おかわりしていた。
道後温泉駅に着くと、今まさに坊っちゃん列車が発車寸前。
慌てて飛び乗った。
観光客丸出しで写真を撮る。
そして気がつけば、予定していた特急電車に1分遅れで乗り過ごした。
予定では、高松まで電車で行き、うどんを食べ、船で帰るはずだったのだ。
仕方なく、高速バスで帰ることに。
バスの時間まで数時間あいたので、石手寺に行く。
意外にワンダーな世界であった。
石の彫刻がなんだか滑稽だったり、長い洞窟を抜けると変なマンダラ館があったり。
ところがやっぱり、バスに乗り遅れそう。
慌ててバス停へ。
結局、讃岐うどんが食えなかったのが残念なので、
大阪に帰ってから四国うどんの店で食べたが、イマイチ。
楽しい旅だったが、食べ過ぎてまた太ってしまった。
しかし日常からトリップした2日間、
大いにリラックスして楽しませていただいた。
皆に感謝。
9月27日(土)「本格的ポエキャバ」について
19:00open 19:30start \1500 1drink付 報告:上田假奈代
大人バンドGASの演奏と、キモノガールズによる詩の朗読の一夜は、ゆったりと暗闇につつまれた。
お客さまの隣にビールやコーヒーを運ぶキモノガールズは、いっしょに詩を運ぶ。
グラスをテーブルに置くと、すこし恥ずかしそうに隣に座り、詩の束をとりだすと、朗読をはじめるのだ。
その日は中高年の女性客が多く、会場は朗らかである。キモノガールズに優しく笑いかけてくれ、なんとも和やかな雰囲気である。
ところで、告知を見た男性諸君は「ポエキャバ?いきたいなあ」と鼻をのばしていたのに、来なかったのは、どうしてなんでしょうね。(行動しない奴は、空想してたらいいのよ)
さて、そもそも「ポエキャバ」はどうして生まれたのか。
この春あたりだろうか、毎日着物を着ている上田假奈代をみて、興味をしめすお嬢さんがあまりに多い。
新聞に掲載された記事をみて、電話をしてくる女性の多いこと。
そこで、日常的キモノの着付程度でよければ教えるわ、と日常キモノ着付け教室をはじめた。
ココルームの厨房を改造した事務所で、男性スタッフを追い出し、それぞれのペースで着付けを覚えていく。
せっかくココルームでキモノに着替えたのだから、終わった後に、みんなで御飯を食べて、ついでに舞台で詩の朗読をしたりして。
着付けを習いにきたお嬢さんたちは、詩の朗読なんて聞いたこともなかったのだけれど、それでも楽しそうにココルームで遊んでいた。
どこからともなく、キモノガールズたちのあいだから、キモノで何かしたい!と声があがり、誰がいいだしたのか「ポエキャバ」なることばが生まれ、「実験的ポエキャバやります」とメールを一斉送信すると、GASさんから「ポエキャバでGASが演奏したい」と連絡があり。あれよあれよ、という間に、本格的に当日。
着付け教室がはじまって、5ヶ月でこの騒ぎ。
キモノって、すごいなあ。キモノガールズがすごいのかなあ。変身できるからかなあ。
ココルームをはじめるときに、希望的に考えていたことがあった。
詩を朗読したことのない人が、詩をたのしく朗読したり、それをこころ豊かに聞いてもらえる時間を作りたかったのだ。
キモノというひとつのきっかけで、華やかに実現したのである。
From: wahira
Date: Fri, 09 sep 2003 23:05:27 +0900
To: 上田假奈代 < info@kanayo-net.com>
Subject: キモノガールズ帰宅
本日はお疲れ様でした。
行く度に思うのですけれど、ココルームは秘密基地もしくは宝石箱。
毎回、どきどきがあります。
ポエキャバでの詩の朗読は・・・・・聴かされたお客様には我慢大会だったかもしれませんが、わたしは楽しかった!
全然気持ちが追いつかなくて難しいけれど、楽しかった。
素敵なGASさんのライブも聴かせていただけた上に、お駄賃までいただいてしまって
・・・・・ありがとうございました。
また、是非企画してください。
それでは、おやすみなさい。
和平 華(和歌山)
From: nura
Date: sat, 09 sep 2003 10:11:20 +0900
To: 上田假奈代 < info@kanayo-net.com>
Subject: キモノと詩と声
昨日はお疲れ様でした。
お着物を着ることといい、人に詩を読んで聞かせて差し上げることといい、初めての貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。
はじめは記載されている詩にも目を通していない状態でしたので、お客さまも私もへぇ~、って感じの状態でしたが、同じ詩をなんども読んでいくうちに、詩のこの部分をお伝えしたいわ、とか、思うようになり、次第に身振り手振りがつき、視線を泳がせ、なんだか楽しくなってきました。
お客さまに感想を伺ってみると、はじめは演奏に負けてる、とか、ふだん詩を読んでもらうことなんてないから、なんだか恥ずかしいけどいいもんやね、とか。
人に詩を読んでもらうって嬉しいことなんやね、とか、さまざま。
リクエストとしては、「僕にあった詩を読んで」とか、「美味しそうなやつを」とか、「色っぽいのがいいなあ」とか、「今の曲にコラボレートするのを」それに応えるのもまた面白かったです。
一番人気があったのは、やはり假奈代さんの詩でしたよ。
かつて子供の頃に、母に読んでもらった絵本の事などを思い出しながら、楽しんでいました。
お客さんに頂いたビールの旨かったこと!あんな旨いビールを飲んだのは初めてです。
あの状況で、朗読による疲労感を伴った喉に流れ込むびぃる・・・。最高でした!
ありがとうございました。
ヌーラ(京都)
のぞちゃんのcocoroomレビューは、なぜか「いもほり」
10月2日。
吉野の実家へ帰った。
目的は、ぽこぽこ(コンガ)や大量の本をcocoroomに運ぶためだったのだが、実はもうひとつ。
前日に母・みさちゃんから「芋掘りできるで」とメールがあり、楽しみにして出かけたのだった。
吉野には、昼頃に到着。
野菜たっぷりのうまい昼ごはんを食べ、小1時間ほど昼寝をした後、いざ畑へGO!
うちの畑の野菜は販売こそしていないものの、家庭菜園の枠をはるかに超えている。
父は小型の耕運機で耕しているのだ。
芋掘りといっても子供のお遊びのようなものではなく、かなりの重労働。
まずは四方八方に伸びまくった蔓を鎌でバッサバッサと刈る。
そして茎のまわりの土を大きなスコップで全身の力を込めて掘る。
あまり近くを掘ると芋を切断しちゃうので、まわりのちょっと離れたところから掘る。
それからやっと、大小さまざまな形をしたサツマイモを土の中からずぼっと引き抜く。
「うわぁー」という声が出る。楽しい。うれしい。芋掘り。いぇい。
やっぱり失敗して切断しちゃったり、モグラのかじった跡があったりするのも、またよろし。
まだまだ作業は続く。ひたすら蔓を刈り、土を掘り、芋を引っこ抜く。
刈った蔓を1箇所に集め、掘った芋を日に当てて乾かし、集めて家に持って帰る。
太陽の下、泥だらけで汗をかいた秋の午後。
ひと息ついた後は、ぽこぽこや本を車に運び込み、もうくったくた。ハラへったー。
その日の晩ごはん。
サツマイモと、とれたて野菜の天ぷら。こいも(里芋)の衣かつぎ。好物の秋刀魚。
うっまー!
日帰りのつもりが、うまい料理についつい酒がすすみ、お泊まりすることに。
吉野の夜はもう毛布が必要なくらい寒かった。
翌朝、ぽこぽこと懐かしい本と秋の大収穫物とともにcocoroomに戻った。
編集部: |
のぞちゃん手掘り(?)のサツマイモが、蔓付き、土付きで、cocoroomのブラケットライトにぶら下っています(10月15日現在) |
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