COCOROOM 特定非営利活動法人 こえとことばとこころの部屋
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P.P.P.P.C.B.N.経過報告書 2004/1〜2
2004/ 1/20

イロハ(音楽)

  • 年末にBRIDGEで行われたイベントに出演しているところをみかけ、あちこちに連絡を取りまくって招聘にこぎつけた、若手実力派。静かな音の中にも、アヴァンギャルドな激しさが見えかくれする、一筋縄ではいかないとても複雑な構成。ドラムがステージ上にあるにも関わらず、ドラマーは着物姿で登場し、包丁を振り回し、キャベツにかぶりついたまま、ステージ端で動かなくなる。これだけを見ると変なバンドと、言う事になるが、このよさは、ライブを見ないと絶対分からない。スタッフ絶賛。

森本アリ(ゲームボーイ)

  • 照明を全部消し、暗闇の中、ヘッドランプを付けたインチキな炭鉱夫として出現。ステージ上にはちゃぶ台を持ち込み、オモチャや人形を並べ、ニセの一家団欒を演出する。6台のゲームボーイをミキサーにつなぎ、演奏する。遊んでるんじゃなくて演奏。ゲームボーイを操作して音を出しているとは思えない。もちろん、クオリティや興味を持続させる力という点では、電子楽器に及ばないが。それでもこれは秀逸。

人間磁石(人間磁石ブルース)

  • 見た目はサイケ。70年代のヒッピーを彷佛とさせるファッション関西圏ではブルース層が根強く、深いといわれるが、それをメンバー全員で証明したどブルース。年代や流行ではなく、「好きだからやる」という姿勢には我々の原点を見る思い。粗削リで、連発するミスや、ぶれる音程、時間と共にかすれていく、ヴォーカルの、のどの弱さも、パワーと根性で乗り越える。うーん、it'sブルース。俺の血は黒いぜ。

嬲なぶり(あぶらなぶり+上田假奈代)

  • フリージャズバンド「あぶらなぶり」VScocoroom代表「上田假奈代」公式2回戦。あぶらなぶりのインフルエンザVS上田の生理痛という形に。拮抗するも緩やかに上田ペースで進行し、最後には必殺技「日本国憲法」をお見舞い。「これでも食らえ」の憲法第9条に、「まいりました」と、自衛隊派遣。イラクの民は本当に望んでいるのか?世界は信頼関係をもちえるのか?



2004/ 1/24「P.P.P.P.C.B.N.W.」本稿は阿佐田亘(大和川レコード)

飯田修司(a.k.a. PECK 『もうええわ!山田です。』)

  • ライブの直前に、散髪屋に行ってスキンヘッドで舞台に向う飯田修司。「もうええわ!山田です」という言葉を1タームの朗読の都度連発。朗読の間に成される、なんでもない会話。なんでもない楽器音。ほんとになんでもない“間”なのだけれども、その微妙な表現が、後々、この台詞の存在感を決定付ける(?)。そう、皆もご一緒に。さん、はい、「もうええわ!山田です」

宮本典明(映像作品『meimei to mori』上映)

  • 映像作品のみの上映という形式はP.P.P.P初の試み。既に3組の出演者が様々なパフォーマンスを行った後の、ひとときの静のステージ。既存の“上映会”というシステムではなく、ジャンル交錯型イベントでの上映は、映像表現の捉え方を考え直す良い機会であるとか、上映前から様々な議論が沸きあがった。そんな難しい話はいいとしても、実際、突然、音量がピークを振り切った少女の叫び声には観客もびっくり!であった。

岡本清周(詩語り 語り尽くせぬもの)

  • リハ前からお酒を少々。リハ終了後、「ジャンジャン横丁に行ってくる!」と酩酊の旅へ。50男の人生を背負った味のあるパフォーマンスはなかなかそこいらのライブハウスでは見られないと、キュレーターとして自負。唄とも叫びともとれない独特な節回しはポエトリーリーディングの静的な像を覆す新鮮さ。突如、客席にいた岡本氏の知人がギターで参加したりなど、大いにハラハラするライブであった。最後に詩人岡本清周が述べた「50歳はまだまだ詩人としてはひよっこなんだ。俺はもっとがんばらなければならない」という言葉。深く心に響いたものだ。

夜のパピヨン(「相方トレーラー暮らし 僕その日暮らし」的漫才)

  • “漫才”という表現。これもまたP.P.P.P初の試み。学生服姿で相方を待つ藤崎雅也氏、上半身裸で意味不明コスチュームの相方、東謙介氏。そこで、二人は”決闘”をするのだが...リハ中、本番前まで極めてクールな彼らであったが、本番では淡々した趣でありつつも、どこか燃え滾るテンションを感じさせてくれた。コントという形式は漫才以上に作家性を感じさせてくれるもので、彼らのパフォーマンス作品を今後もっと見てみたいものだ。

想い出迷子(音像パフォーマンス)

  • リハーサル時から綿密に音のバランスをPAと共にチェック。本番では見事な音世界を構築してくれた。ギター、エフェクト、風景音のテープコラージュ、オルゴール。それぞれの音が縫い重ねられては解かれ、また縫い合わさって。思い出したかのように、5分前の音像が再び復元される感覚は、デジャヴに似た不思議な体験であった。ライブ終了後、居合わせた女性客に話しかけられて終始笑顔な想い出迷子氏であった。




2004/ 1/25

SUMIDA(はげ二人組)

  • サックスの岩田、ドラムスの井崎といえば、関西では、その名を知られる実力派。テクニックだけではなく、個性や感性も演奏に盛り込む。「俺たちゃ、はげだよーん」と、おふざけの連発にテクニックの応酬。誰にも真似できない、ものすごい事をやっているのに、観客は腹を抱えて、笑い転げるこの凄さ。自分を笑い者にできる、この境地というのは、一体何だろう。共演者大絶賛「ものすごく訓練した馬鹿ですよね」それって、ほめ言葉じゃないだろ。

コオセキラヂヲ(電子音+アコースティック)

  • 京都の盲学校で仕事をしていたメンバーによる構成。お世辞や冗談、偏見ではなく、音を見せるという試みに感じられる。鳥の声や風の揺らめきを、唇のふるえや、口腔の共鳴で表現し、それにアコーディオン、シンセで合成したゆるやかな音をかぶせる。謡う心象風景、歌詞など其処には存在していないのに。確かにあたたかい光を感じた。

芝居紳士(路上芝居)

  • 芝居紳士と書いて、「しばいしんじ」と読む。いつもは京橋などでゲリラ的にライブを行っている。路上でしか出来ない表現があり、追い詰められた状況でしか、感じられないパッションがある。今までの自分達の表現の集大成として、cocoroom屋内での公演に挑戦。お客さんの笑いを取らないと落ち着かないのは「関西人の血」か。

拍尾振(のこぎり音楽)

  • お隣、中国ではSARS(サーズ=重症急性呼吸器症候群)のウイルス媒介者として、大量虐殺が行われているジャコウ猫科の動物登場。「そんなつもりで、バンド名付けたわけじゃありません。」終始にこやかにMC。ノコギリ演奏=横山ホットブラザースの「お前は阿呆か」にのせて唄うのは、父ちゃんが死んだ。幼馴染みが死んだ。合掌。




2004/ 1/27

稲葉健(ガットギターによる弾き語り)

  • バーの日替わりマスター登場。「田舎からッ出て来たばっかりで、右も左も分かりましぇん」さわやか系フォークといった印象。「がんばれがんばれ」と無責任に励ますわけでもなく、「俺なんか死んじまえばいいんだよー」でもない。駐車場にいつもいる猫と、今朝目があったんだよ〜。どぅびぃどぅばァ〜。うーん。弾き語り。

大野勝治(ピアノによる現代音楽)

  • 盲目の声楽家、北村多恵氏を引き連れ登場。完成された古典的楽曲、稀代の名曲とされているものを一旦バラバラにし、独自の解釈を加え編成しなおす。=作曲しなおす。という、神をも恐れぬ所業。確かなテクニック。全ての歌詞を完全暗記して謳う北村。一体どれだけ練習してこのライブに臨んだんだ?技巧を披露するための技巧にあらず。

内田倫太郎(何かやります)

  • 彼は記念すべき第一回P.P.P.ライブ、最初の1組目の出演者「VISON」の生き残り。最初のライブにして「僕達解散します」と、解散宣言をやってのけた。ソロでの出場も、やっぱり「VISON」のメンバーが駆け付け、再び同窓会状態。イマジンも歌った。

ハッピー幸子(アコーディオン懐メロ)

  • 「ちんどん女」ハッピー幸子登場。普段はミナミにあるバー「ハッピー」のママとして活躍している彼女だが、ひとたびアコーディオンを担がせると元ちんどん屋の本領発揮。アンコールにこたえる日本髪も愛らしい。

ヨイカ(公開練習その2)

  • 上田假奈代(cocoroom代表)と、よごいじ(解体と膨満感)。あわせてヨイカ。インプロヴァイズ=即興演奏に合わせて詩を朗読するユニットとして、当P.P.P.P.で鮮烈デビュー。公開練習と称して客前に現れる。それまで騒がしかった客席が水を打ったように静まりかえった。




2004/ 2/17

朝宮運河と十月同盟(反人間術<1>)

  • 防毒マスクを被ったバイオリン、真っ黒なマスクとコートに身を包んだパーカッション、顔を包帯でぐるぐる巻きにしたピアノ、びっくりメイクのノイズエフェクター。構成は弾かないバイオリンに、効果音としてのパーカッション、ミニマムなリフを繰り返す、ピアノ、ノイズにあわせて呪文のように朗読する。記録されたものを再生しただけでは分からない何かが、ライブにはある。


阿佐田亘ソロ(ひとり大和川レコード)

  • 「カフェでやります」と、言い放ち、ゾロゾロお客さんを引き連れ、カフェスペースに移動。大勢のお客さんを前に、カウンターで用意された定食を食べる。しばらくの間、「むしゃむしゃ、ごくごく」、という咀嚼音が響く。注意深く耳をすまさないと聞こえない。カフェスタッフがフライパンや食器を演奏?し始め、それに合わせて歌い出す。最後にはお客さんもしゃもじなどを叩きだし、手拍子、足拍子。とりあえず大団円。

従鯉亜型素(ぶーちゃん<仮>)

  • ネット詩人「従鯉亜型素」(いごいあかたそ)登場。万人に開かれたネット閉鎖空間で活躍するアーティストというのは、時に大群集の真ん中で、耳を塞ぎ、目を堅く閉じ、へたり込んでいるのと同じ錯覚に陥る。自己完結し、誰も問いかけていないのに、答えだけがあったりする。cocoroomカフェスタッフ総動員でサポート(邪魔?)する中、彼は自分の持ち時間を表現しきった。

山口智VS上田假奈代(ハンマーダシルマーVS朗読女)

  • 「ハンマーダシルマー」というのは、古代ペルシャで生まれた楽器の名前。台形の台に、幾重にも弦を張り巡らし、それを木製のバチで叩いて演奏する。とても複雑な倍音構成を持った楽器。山口智さんは、其の道では知らない人がいないほどの第1人者。今回特別に「假奈代さんと一緒にできるなら」と、快く出演を了承。史上初のハンマーダシルマーと、壮大なファンタジー「吹雪の星の子どもたち」小説朗読のコラボレーションとなった。



2004/ 2/24

ひでーじ(いじーま)
  • ココルームスタッフ飯島秀司登場。カフェスタッフを引き連れ、ピアノの弾き語り。「かーらーすー。カァー!」と、絶叫し、ヘタうまとかインチキという概念を覆してみせる。寄せ集められたスタッフは、エプロン姿のまま、「カァー、カァー!」と、カラスのまねをして、両手で羽ばたき、ステージ上を走り回る。お金を貰って見せる事。客を欺き、感動させるだけが表現ではないという事か。本当?本気か?

チカチカチカビー(マイム好き)
  • パントマイム界の小さな巨人[いいむろなおき]氏の愛弟子登場。偉大な師は、リハの段階から鬼の形相でダメ出しの連続。P.A.スタッフとも、綿密な打ち合わせ。音の加減、照明の具合まで入念にチェック。まるで本人が公演に臨むかのよう。「そうじゃないだろ。俺だったらこうする。」というもどかしさがガンガン伝わる。満場のお客さんを前にステージ終了後、会場横で満面の笑みの師を前に、泣いていた二人は、絶対に悔し涙じゃなかったはずだ。怖くて聞けなかったけど。

亜子米(ギタレレとレーディング)
  • 名実共に西日本最強の朗読者。朗読界のヴァルキリー、謳う闘将デビルリバース「亜子米」登場。第1回詩のボクシング奈良大会優勝、第2回詩のボクシング全国大会準優勝の、まばゆいばかりの経歴に彩られる彼女は、そのあまりの破壊力ゆえに禁じ手とされる「羅漢仁王詩」の正統継承者でもある。P.P.P.P.史上、最大、最強の詩神の登場に、スタッフは慌て、ふためいたが、ポヨンとやってきて、ポヨンと帰っていった。

Lo-lo,Lo-lo(踊る集団)
  • 家族、親族大集合で応援する[踊る家族会議:Lo-Lo,Lo-lo]登場。いつもは会場受付で、誰を見に来たか訪ねるのだが、全員、判でついたように同じ顔なのでびっくり。ある意味、客席がパフォーマンス。肝心の内容は、おそらくバレエをその源流にしたモダンダンスと思われる。随所につま先をその起点とする動きや、開脚時の体重移動、回転時の首の動き等、幼い頃に叩き込まれた絶対的な基本は揺るがない。禁酒禁煙、菜食主義でミネラルウォーターを大量に持ち歩くダンサーが見たら失神するような演出もすごい。いろんな意味で。

花野生涯(ピアノ浪漫)
  • NPO法人「大阪アーツアポリア」会計、劇団「ロヲ=タァル=ヴォガ」代表、ココルーム主宰が結託してデッチ上げた、インチキユニット[花野生涯]登場。ピロピロ弾く会計ピアノに客席と目をあわせようとしない役者、噛み合わない朗読女と、三拍子揃った鬼っ子状態。「分かろうとするんじゃない。心で感じるんだぁ!パッション」となだれ込むが、着陸地点が分からないどころか、いつ発進したんだ状態。意味不明のまま胴体着陸パフォーマンス。うーん、陽炎たる僕ら。




2004/ 2/27

伊藤友哉(25時間不眠不休ドラマリーディング)

  • 「25時間ブツブツ男」伊藤友やん登場。不眠不休朗読は去年に続き2回目だそうだが、記念すべきスタートをココルームできる。ちなみに去年は24時間。「毎年増えるんですか?」の問いに「去年は24歳で今年は25歳だから」という答え。真剣なんだか、何なんだか。持ち時間をステージの上で行い、それ以降はカフェスペースにて小声で行う。そしてそれ以降は、夜の町にブツブツいいながら消える。戦え!ブツブツ。

藤本さん家の子供(負けそうな奴)

  • 記念すべきP.P.P.P.第1回目で最初の出演者[VISION]の友達,「藤本さん家の子供」登場。若いがゆえに荒削りでストレート。という、年寄りの勝手な価値観そのままの「俺は若いんじゃ、文句があるなら、歳とってからにしてくれ」パフォーマンスには、思わず笑みがこぼれる。もうそのまんま。言う事なし。「誰かに聞いて欲しいから歌っているんじゃない。」と歌うが、でも、聞いて欲しい気満々。若いっていいよね。

夢想回路+井口明子(ドラム缶+踊り女)

  • 踊る集団「Lo-lo,Lo-lo」代表二人組、井口+田岡とドラム缶父ちゃん「夢想回路」登場。踊るのが好きで好きで、たまらん!という二人組と「俺の前世はドラム缶だ!」と言わんばかりの「夢想回路」。リハの段階から真剣勝負って言うか、阿鼻叫喚の地獄絵図。リハで完全燃焼してどうする。汗だくでゼイゼイ言いながら、「あ、あの、本番では、も、もっとセーブします」そうだよな。好きなんだもんな。いろいろやりたいよな。納得。

西山ともか(彼氏とはまだ続いているコント)

  • P.P.P.P.初の「コント」で登場。日常に潜む不条理を断片的に繋げてみせる。目まぐるしいまでの舞台転換は、それだけで充分に独立していて面白い。たゆまぬ練習の成果。上着と帽子を変えただけで、其処が駅のプラットフォームになり、会社の一室になり、テレビの収録スタジオになる。ただ残念なのは、全編生声で行うために、舞台の前方と後方、客席に背を向けてのセリフが聞き取りづらくなる事。客を笑わせる難しさを実感。

森山英将(何でしょうか俺は)

  • BRIDGEギター四天王、[四畳半ギター]「森山英将」登場。急遽出演要請をしたので、「何したらいいんでしょうか」と、人の好さ爆発。ステージ上の一角にこじんまりと一杯の機材を広げ、広いスペースを狭く使う奥義「爆裂アパート四畳半拳」を披露。真の達人はいかなる状況下においても、そこを自分の部屋にできる。あれもできるし、これもしたい。あぁ、あれも。と、見て欲しい事満載で、自分で何をしたらいいかわからなくなる。その慌てっぷりが見事。クォリティも高い。さすが。